アストン マーティン 記念すべき株式公開に密着 新たな歴史の始まり
公開 : 2018.11.03 16:10
長いゲームの始まり 株価に一喜一憂せず
集まった関係者に加え、周囲のひとびとも最後のカウントダウンに参加していた。そして、巨大なスクリーンに株価が表示されるのが一瞬遅れたのをごまかすかのように、盛大なファンファーレが響き渡った。
歓声のなか、最初に成立した取引価格は19.05ポンド(2741円)であり、その後も同じような価格で売買がしばらく続いたが、8時30分頃18ポンド(2590円)まで下落すると、集まったひとびとも徐々にその場から離れて行った。
取材に応じたパーマーは、今回の株式公開までに105年が掛かっており、最初の30分でやきもきすることはないと、冷静に状況を見つめていた。
ウィルソンも、上場当日の終値が18.30ポンド(2633円)程度であれば十分だと語っていた。他にも、2015年にフェラーリが株式公開を行った際には、50ドルの公募価格が3倍に達するまで、一旦は35ドルにまで下落したことを引合いに出すものもいた。
最終的に初日はそのまま18.25ポンド(2626円)の終値で幕を閉じた。翌日のヘッドラインにはアストンがスピンしたとか、クラッシュしたなどという言葉が躍っていたが、もちろんアストンにそんなことは起こっていない。
アストン マーティンの首脳陣はこうした事態も想定していたのだ。上場企業を経営するということは、経営者はその一挙手一投足を監視され、次に何をすべきかといった外野の声にさらされるということであり、そうしたことを知るものにとっては、これは長いゲームの始まりに過ぎない。だが、だからといって興奮してはいけないわけではない。