ジャガーIペース ワンメイク「eトロフィー」レースカーに試乗 今後の展開は
公開 : 2018.11.10 10:10
フォーミュラEへの登竜門に
とはいえ満充電では回生は効かないし、激しい充放電をくりかえすとレース後半でバッテリーが過熱して充電能力が下がってしまうので、そんな状況でも制動能力を確保すべく摩擦ブレーキのほうも強化されている。だがeトロフィーのドライバーたちにとっては、回生併用のほうがブレーキの感触はよいという。
この電動レーシングカーの本質として、知っておかなければならないことがある。マシンを管理するのはMスポーツ社で、その費用は1シーズンに1台あたり45万ポンド(6675万円)という。
技術的な規定は向こう3年間変えない見こみ。マシンをリースするなら費用は年間9万5000ポンド(1409万円)、購入するなら20万ポンド(2966万円)が必要となる。電動になったところで、お買い得になるわけではないのだ。
だが、たとえお金を払って走るレースであっても、走って報酬をもらえるフォーミュラEへの登竜門とみるならドライバーにとっての魅力はおおきい。ここであらかじめ電動マシンの経験を積んでおけば、将来ライバルよりも優位に立てるのだから。
ともあれ、eトロフィー仕様を運転してみていちばん印象的なのは、耳で感じる盛り上がりがなくなることでその他もろもろのことがいかに際だって感じられるかということだ。
わたしのような未熟者でさえ、ライン取りやブレーキング、そして狭い市街地コースで性能もタイヤも横並びの20台の中で追い越しをかけてトップを奪うことがいかに困難かを考えながら走る余地があるのだ。これはメインレースのフォーミュラEも食いかねないぞ。