GT-R50やゼロウノ VWが買収後「イタルデザイン」何めざす? 試乗で探る
公開 : 2018.11.11 07:40
グループ外も顧客 管理は厳重
だが、幸いにも、イタルデザインは新たに与えられた任務のもと、フォルクスワーゲングループだけではなく、これまで同様、すべての自動車メーカーからの依頼に応えようとしている。この変化は、2015年に発覚したディーゼルゲートの思わぬ余波で、イタルデザインの業務量が減少したことがきっかけであり、同年末には、さっそくフォルクスワーゲングループ以外からの受注活動を始めている。「2015年には、グループ外からの仕事はわずか1%に過ぎませんでした」とイタルデザインCEOのヨルグ・アスタロッシュは話している。「それがいまでは25%まで増加しており、これを50%まで引き上げたいと思っています」
なぜ各自動車メーカーは、極秘プロジェクトをライバルグループ傘下のデザインスタジオに依頼することができるのかと疑問に思うかも知れないが、アスタロッシュは「すべての顧客には個別に対応しており、その秘密は厳守されます。いつでも好きな時にかれらはこのスタジオを訪問し、われわれが守秘義務を契約どおり履行していることを確認できるのです。つねに顧客の訪問を受け入れることで、われわれは信頼を得ることができます」
「会長であるフォルクスワーゲンの購買部門トップ、ベルント・マルテンスでさえ、われわれの顧客が誰かを知りません。彼が顧客企業の名を知るのは、顧客がフォルクスワーゲングループからパーツを調達したいと言った時だけです」と説明している。
この強固な管理体制が示すのは、独立したコンサルタント企業というものはオーナーの影響力は受けないということであり、それがイタルデザインでも徹底されているということだ。アスタロッシュは米国や北欧、日本、韓国の自動車メーカーとともに、いまイタルデザインがSUVとサルーン、さらには小型モデルの開発業務を請け負っているベトナムの新興メーカー、ビンファストや、中国の第一汽車集団の名をあげている。
「いまイタルデザインが請け負っているフォルクスワーゲングループからの案件はひとつだけです」とアスタロッシュは話す。「そして、それはアウディではありません」 イタルデザインはアウディの管轄下にあるのだ。