日産ジュークNISMO

公開 : 2013.04.13 17:32  更新 : 2021.03.05 18:51

■どんなクルマ?

話題のクルマ、日産ジュークNISMOの英国での販売が遂にスタートした。

このジュークNISMOは本当に速いホット・ハッチなのかーーイエス。十分に速いクルマだ。ジュークNISMOは高いパフォーマンスを持ったクルマかーーイエス。本当のエンスージァストを満足させるだけのものを持ったクルマだ。約20,000ポンド(300万円)という価格で、このジュークNISMO並の面白さを手に入れることは難しいだろう。

唯一の問題であり、最も重要なことは、果たしてジュークNISMOが英国の道でも同じように愉しいクルマであるかどうかということだ。その構成要素からは、充分に愉しいクルマであることは分かってるのだが、実際に走らせてみないとその評価はできない。

このジュークNISMOは、ベッドフォードシャー・クランフィールドにある日産テクニカル・センターで開発がされたモデルだ。エンジンは197bhpを発揮する1.6ℓターボを搭載し、ボディ重量は150kgの軽量化が計られている。その価格は、フォード・フィエスタSTやプジョー208GTIよりも、おおよそ1,000ポンド(15万円)から2,000ポンド(30万円)高い設定がされている。

このジュークNISMOにはオプションとしてCVTと組み合わせられる4WDモデルもラインナップされているが、われわれがテストしたのはFWDの6速マニュアル車であった。

■どんな感じ?

本当に速いし、かなり魅力的なクルマだ。その味わいは、普通に運転していても満足できるものである。ターボ・エンジンはパンチがありレスポンスにも優れ、鋭く、楽しい。パワーを絞りだされることを厭わないといった感じだ。

また、パワー・ステアリングとサスペンションのチューニング・ポイントも高い。驚くほどマッシブなフィーリングを持つ。ダンピングが良く効いており、明確にショックを吸収して路面に迎合したコーナリングを見せてくれる。アンチロールバーと減衰力を上げられたダンパーによって比較的車高の高いボディでありながら、引き締まった感覚を見せるのは、英国人好みと言えよう。とにかく、その洗練されたシャシーの完成度の高さには感動すら覚える。

ステアリングは、フロント・ホイールがどういう状態にあるかをしっかり伝えてくれるレスポンスに優れたもので、重さも適度、テンポも良い。日産のダイナミックな仕事には敬意を評したい。しかも、トルクステアとはほとんど無縁だ。

ジュークNISMOに、問題があるとすれば、それは絶対的なグリップが不足していることだ。湿っぽい路面がメインとなったテスト・ドライブのせいかもしれないが、クルマはしばしばトラクションを失い、パワー・オン・アンダーステアにおちいることがあった。コーナリングを楽しんでいる丁度その時、それが発生してしまうと、一気に興が冷めてしまうことになる。

■「買い」か?

このジュークNISMOは、本当の意味でのスーパー・ミニに変わるモデルではない。GTI達とは少しばかり毛色が違うモデルではある。しかし、それと同じかそれ以上に面白いクルマだ。そのハンドリングとデザイン・アピール、目新しい価値に引かれるのであれば、それは唯一無二のモデルであろう。

(マット・ソーンダース)

日産ジュークNISMO

価格 19,995ポンド(301万円)
最高速度 216km/h
0-100km/h加速 7.8秒
燃費 14.5km/ℓ
CO2排出量 159g/km
乾燥重量 1306kg
エンジン 直列4気筒1618ccターボ
最高出力 197bhp/6000rpm
最大トルク 25.4kg-m/2400-4800rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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