丘とスリルと腹痛と ジープ・ラングラーでルビコン・トレイルを走破
公開 : 2018.11.21 10:40
疲れるが楽しい経験
エンジンが仕事をするのはサーキット走行と変わりないが、このクルマは272psと40.8kg-mを発生する2.0ℓのガソリンターボ。力を伝えるのは8段ATと自動ロック(手動切替も可)のデフだ。ホイールスピンしそうな砂地の急な坂などでデフをロックしたら、あとは動く歩道にでも乗ったつもりでいればいい。こちらがあれこれしなくとも、ジープがひとりでにじりじりとはい上がってくれる。
ルビコン・スプリングスにたどりつき、不気味にひっそりと静まりかえった牧歌的な光景のなか、たまに出没するというツキノワグマにおびえながら、トリップコンピューターの数字からここまでの道のりを確認してみた。いつものロードテストの癖で朝一番にリセットしておいたのだが、歩くよりもゆっくりのペースで後にした距離は11.9km、平均燃費は2.0km/ℓと出た。
まあはっきりいって疲れた。それも肉体的にというよりは、むしろ進むべき道を寸分たがわず這うように進まねばならないという精神面の消耗のほうが大きい。だが、素晴らしく楽しかったこともまた確かだ。
超低速ギアよりレーシングタイヤをありがたがる向きにも、どこへ行くでもなく氷河の進むようなペースではい回るのにこんな重装備のクルマがどうして必要なのか、素直にわかってもらえるはずだ。まして、クルマがその象徴といえるこのラングラーで、場面もこのシエラネバダ山脈の並はずれた辺境の地だったらなおさらのことだ。