精彩を欠いたジャガーXE SVRプロジェクト8

マット・ソーンダースは「XE SVRプロジェクト8は、ウェールズの一般道に手を焼いている印象でした。大きなボディサイズも、ボディを落ち着かせることはできませんでした」と評している。左ハンドル車だったため、ワインディングでの走りも不利だったうえ、クルマの小さくないマスや、フロントタイヤから伝わってくる設置感の物足りなさも、小さくない要因だった。

ジャガーは初日が終わった後、一旦クルマを引き上げ、その日の晩に車高を下げてサーキット走行に合わせたセッティングに改めた。これはオーナーが通常行える車高調整の範囲なので、特に問題のない作業。一般道での評価を挽回するため、サーキットでエンジンのポテンシャルを完全に引き出すことが狙いだろう。

しかし、グリップは充分で安定性も高いものの、バランスの面で及ばない。今回のノミネート車両が高い洗煉性を備えている中で、あまりにも後付けの改造車的な雰囲気を隠すことができない印象だったし、フィエスタSTを超えることもできなかった。

価格が高いからといって、このコンペティションでは有利にはならない。実際、マツダMX-5（ロードスター）やトヨタGT86が優勝していることも、それを裏付けている。総合評価で見ると、ジャガーXE SVRプロジェクト8は161点で、フォード・フィエスタSTがわずか5ポイントの差をつけて、9位に付けている。

一般道に出ると、この小さなフォードと同じ価格帯で並ぶことができるクルマがないことに、気づかされる。マット・ソーンダースは「ドライビングで得られる満足感は、ドライバーにかなり依存します。正確性や純粋さ、滑らかさというよりも、レスポンスやエネルギッシュさ、走ることへの積極さが、ドライビングを楽しくしてくれます。クルマを操る準備が整っているひとほど、得られるものも大きいでしょう」と評価するが、つまりホットハッチだ、ということ。しかし、想定外だったのは、サーキットではその安定性が大きく失われてしまうことだった。

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