期待し過ぎたロータス・エキシージ410

「ある一定の領域までは痛快ながら、それを超えると暴れはじめ、納得できない挙動になってしまいます。また限界付近ではコントロール性が緩慢になるようです」と話すマット・バード。彼は姉妹サイトでもあるピストンヘッドでロードテスターも努めている。エンジンパワーの特性に合わせてリアサスペンションを見直したのだろうが、サーキットではソフト過ぎ、先代のSTが持っていたアクロバティックなほどの俊敏性は、やや失われてしまった印象だった。

フォードとジャガーが今回のノミネートで下位2位を占めたことで、自ずと8位に付けることになったのが、ロータス・エキシージ410。わたしは勝利する可能性すらあると考えていたのだが、8位から上昇できなかった。クルマを充分理解していたつもりだったのだが、軽量なロータスに少し期待し過ぎていたのかもしれない。

クルマ単体で見れば、充分に納得できるものだった。一般道でもサーキットでも、ボディコントロールは秀逸で、コーナーのエイペックスでの速度も充分に高い。マット・ソーンダースが「シンプルさと素直さ」と話すが、自動車の評価全てにおいて関係する大切な要素だと思う。正真正銘のロータスであり、仕上がりは高く評価できるものだと思う。

しかし、一般道からサーキットへ移ったとき、いくつかの課題も感じ取れるように変化してしまう。事実、25点満点のサーキット走行で獲得した最高得点は、ひとりが付けた19点だった。

難しいことながら、サーキットでの肉体的な能力と、一般道での心地よさが、バランスしていなければならない。われわれテスターは常に感覚を磨き、スキルも保持しようと努めているが、それに応えるクルマであってほしい。エキシージは、スピードの面でやや足りなかった。レースモードにしても全体的にアンダーステアがひどく、コーナーの出口ではトラクションが不足。せっかくのポテンシャルを引き出すには、リミテッドスリップデフは必要なのではないだろうか。

一方で、スポーツカーとして生まれたロータスを、新しいヴァンテージのスポーツバージョンで破ったことを、アストン マーティンは喜んでいるはず。マット・プライヤーとマット・バードは9位の点をつけたが、マット・ソーンダースの評価は高く、唯一4位に位置づけている。

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