ドライバーズカー選手権2018(2) 10〜5位に留まったモデル、そのワケは

公開 : 2018.11.24 10:10


評価の分かれたアストン マーティン・ヴィンテージ

アストン マーティン・ヴィンテージの一般道での走りを「路面との隔離感では、部分的に優れてはいますが、接地感でみるとベストとはいえない乗り心地です」とマット・バードは話す一方で、「スポーツ+モードでのボディコントロールは非常に満足できます。隅々まで煮詰められたクルマ」とマット・ソーンダースは評している。これが同じクルマの感想だとは、信じがたい。

わたしの感想は、一般道でも善戦はしたと思うが、大きな車幅と視界の悪さで運転はしにくく感じられた。でも、シャシーのセッティングは充分煮詰められ、ドライビングモードの設定も幅があり、正確性や快適性で不足しているとは思わなかった。

そしてわたしを含め、サーキットでの評価は高かった。スピードの速さや技術的な滑らかさだけでなく、非常に深遠な懐の深さと、内に秘めた野蛮さは、テストチーム全員に強く訴えかけるものだった。多くのクルマがサーキット専用タイヤに履き替えたのにも関わらず、アストン マーティンは標準のピレリPゼロ・タイヤだったことも付け加えておこう。

アストン マーティンがわずか2点差でエキシージに勝った一方で、アウディR8 RWSは3点差でひとつ上位に付けている。競争が均衡したものだったことがわかる。ただ、アウディはこの結果をどう受け止めるのだろうか。われわれテスターの評価では、6位以上の点数をつけたひとも、8位以下の点数をつけたひともいなかったのだ。つまり、アウディでひとつ突出していた部分は、本当に突出した特徴に欠けていたこと。

わたしはブレーキのフィーリングが好きにはなれなかったが、他のテスターはそうでもなかったようだ。また、評価メモを見ても、バランスや落ち着き(マット・ソーンダース)、ステアリングとダンピング(マット・バード)などの評価は高く、低い点数は見当たらない。一般道でもサーキットでも、それなりの点数をつけたのだが、その環境に応じてドライブできただけ、だともいえる。

現行のR8の中でのベストであることには間違いない。でも恋に落ちるような、感情的な部分が足りなかった。アウディが長年生み出してきたクルマの中で、最も優れたドライバーズカーであるとはいっても、それはアウディの中で、という条件付きだと思う。

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