アウディS3 Sトロニック
公開 : 2013.04.17 17:32 更新 : 2017.05.29 18:18
■どんなクルマ?
昨年デビューした第4世代のアウディA3のハイパフォーマンス・バージョンが、このS3だ。その2.0ℓ4気筒ターボ・ユニットは、先代に較べ35bhp、3.0kg-mのパワー・アップを果たした。また、ハルデックス・スタイルのマルチ・プレート・クラッチを持つ4WDシステムは再設計されたのも大きな特徴だ。
■どんな感じ?
それは、ライバル達と較べて保守的な演出かもしれない。インゴルシュタットのホット・ハッチは、7.5インチ幅の18インチ・アロイホイールと、ベース・モデルのA3よりも25mm低くなったサスペンションが特徴だ。
インテリアも非常に理解しやすいもので、ドライビング・ポジションも実に良好。とにかく、論理的に考えられているといった感じがする。ダッシュボードの計器類の配列もよく、センターにマウントされたモニターも見やすい。また、すべてのコントロールが、軽く共通のフィーリングで操作できるというのも素晴らしい。更に印象的なのは、キャビンの至るところに使われている素材だ。
アウディの最新のEA888 4気筒ガソリン・エンジンは、4WDシステムと、旧S3に対して60kg軽くなったボディと組み合わせられる。最高速度はリミッターで250km/hに制限されているが、0-100km/h加速は、3ドア・ハッチバック・ボディで4.8秒(S3 5ドア・スポーツバックは今年後半に追加される予定)と、RS3の僅か0.2秒落ちというタイムを持つ。
ほとんどドラマを感じないパフォーマンスだ。修正されたエンジンは、ロー・エンドでは強力なポテンシャルを持ち、レスポンスも素晴らしい。そして、驚くほどスムーズに6800rpmのレブ・リミットまで一気に回る。その性格は、明らかなパンチを持つというよりも、全体的に柔軟性に富んだもので、高燃費も稼ぎ出しているものだ。
エグゾースト・ノートは、A3よりも活発なものではあるが、そのボリュームと力強さは少々不足気味といえよう。
MQBプラットフォームを最小したシャシーに履く225/40R18のタイヤは、充分なグリップ力を持つ。また、S3の低められたサスペンションは、印象的なボディ・コントロールを持つ。コーナーの頂点でハードにプッシュするとロールは深まるが、粘着力のあるグリップを見せてくれるし、そしてそのスピードは驚くほど高い。
問題なのは、そのステアリングで、フィードバックが欠如しており、コミュニケーションに欠けるもの。しかも、好みからすればあまりに軽いのだ。
■「買い」か?
確かにアウディS3は非常に完成したホット・ハッチであり、そのパフォーマンスは驚くほど高い。ものすごく速く、機敏で、グリップも高いレベルにある1台だ。
(グレッグ・ケーブル)
アウディS3 Sトロニック
価格 | 31,980ポンド(482万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 4.8秒 |
燃費 | 14.8km/ℓ |
CO2排出量 | 159g/km |
乾燥重量 | 1415kg |
エンジン | 直列4気筒1984ccターボ |
最高出力 | 296bhp/6000rpm |
最大トルク | 38.7kg-m/1800-5500rpm |
ギアボックス | 6速デュアル・クラッチ |