カルロス・タバレス PSAグループを生まれ変わらせた手法とは?

公開 : 2018.11.24 11:40  更新 : 2021.03.05 21:42

プジョー、シトロエン、DSなどを傘下に持つPSAグループは、数年前まで赤字続きで倒産寸前とまでいわれていました。ところがカルロス・タバレスのCEO就任以来劇的な変貌を遂げ、いつのまにか業界屈指の高い利益率を持つメーカーへと生まれ変わりました。

もくじ

PSAを立て直した男
劇的な経営改善
SUVや電動化がカギ
ヴォグゾールの買収

PSAを立て直した男

PSAの会長であるカルロス・タバレスは、最近、前年比40%の増収と過去最高の利益を確実なものにした。この結果、PSAは9月にフォルクスワーゲン・グループを抜いて欧州最大の自動車メーカーとなった。

タバレスはPSAのプジョーシトロエン、DSの各ブランド(プラス新たに傘下に収めたヴォクスホール)を、ひどい財政状況から今や世界で最も儲かっている自動車製造メーカーへと一変させたのだ。

遡ること2012年、PSAは赤字が何年も続き、倒産の危機に瀕していた。グループの報告書によればこの年の赤字額は50億ユーロ(現在の為替レートで5600億円)に達していた。

理由のひとつはPSAの欧州中心主義だ。欧州の新車市場は2008年の金融危機の影響をまだ引きずっていた。くわえて欧州は世界の他の地域より賃金コストが高く、利益率がずっと低いため、PSAのキャッシュフローは悪化の一途だった。

2014年早々にタバレスが就任したときには、すでにドラスティックな変革が進行中だった。プジョーは8000人の大幅削減と、40年以上クルマを生産してきたパリのオルネー工場の閉鎖を柱とするコスト削減計画を発表した。同時にプジョーは、フランス政府と中国の東風汽車に数十億ユーロの資金援助を要請した。

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