カルロス・タバレス PSAグループを生まれ変わらせた手法とは?
公開 : 2018.11.24 11:40 更新 : 2021.03.05 21:42
ヴォグゾールの買収
そしてPSAがGMからヴォグゾールを買収するという「事件」が起きる。GMがPSAを救済しようと準備したあの日から時代は激的に変わったということを象徴する事件だった。GMの欧州子会社だったヴォグゾールは、ほとんど20年間にわたり利益を産まなかった。しかし大胆にもタバレスは、ヴォグゾールはこれまでの赤字体質を振り払い「真の欧州チャンピオン」になると主張した。
周りはみな懐疑的だったが、またしてもタバレスは想像もできないことをやってのけた。野心的な経費削減計画により、ヴォグゾール・オペルは2018年の上半期だけで5億200万ユーロ(649億円)の利益をあげた。この結果、PSAの収益は40%増加し、VWを抜いて欧州最大の自動車販売グループになった。
「オペル・ヴォグゾールを傘下に収めたことで効率が上がり、コストに良い影響が出ているのです」とムーニョはいう。
大きな課題も待ち構えている。PSAは不安定な中国市場で「後退している」とムーニョは指摘する。しかし、タバレスがこれまで克服してきたことを考えれば、彼が中国市場で大きな収益と利益をあげることに成功するのはまず疑いようがない。彼には切り抜けられない嵐などないのだ。