魅惑のツインエンジンカー ビンテージレーサーから最新ハイブリッドまで 前編
公開 : 2018.11.24 06:10 更新 : 2021.03.05 21:42
シトロエン2CV サハラ(1958年)
2CVは悪路も念頭に開発され、このブリキのカタツムリには、ほとんどの場所をものともしないモデルとの評価が与えられていた。しかし、シトロエンはそれでは満足できなかったのだ。その結果、誕生したのがトランクルームにも425ccフラットツインを積んだサハラであり、ダッシュにはこの追加されたエンジン専用のイグニッションキーが備わっていた。このふたつのエンジンはひとつのギアリンケージを共有しており、フロントエンジン単独か、ふたつのエンジンを使った四輪駆動走行を選択することができた。
重量増によって、もともと大したことはなかった2CVのパフォーマンスがさらに損なわれる結果となったが、驚異的なトラクション性能とともに、当時フランスが植民地を持っていたアフリカ大陸では人気を博している。しかし、1958年から1971年まで続いた生産期間にもかかわらず、サハラの生産台数は694台に留まっており、現在では非常に希少なモデルとして、もし完ぺきなレストアをほどこされた車両を発見できたとしても、その価格は7万ポンド/9万2000ドル(1012万円)に達するだろう。