魅惑のツインエンジンカー ビンテージレーサーから最新ハイブリッドまで 前編
公開 : 2018.11.24 06:10 更新 : 2021.03.05 21:42
ミニ・ツイン(1963年)
ツインモークの経験から、BMCとアレック・イシゴニスはミニの四輪駆動モデルの能力を証明しようと決意した。このツイニと名付けられたモデルでは、サーキットとラリーの双方で成功を収めつつあったクーパーに倣い、パフォーマンス向上に力を入れることにしたのだ。2台が作り出され、最初のモデルには排気量997ccのクーパー仕様エンジンが、2台目にはダウントン・チューンのエンジンがそれぞれ2基搭載されていた。2台目のミニ・ツインはシチリア島で開催された1963年のタルガ・フローリオに出場したものの、残念ながらリアのラジエタートラブルにより、リタイヤを余儀なくされている。
この2台ともがBMCによってスクラップにされたが、ジョン・クーパーはこのアイデアをベースに自身の手でオリジナルのツイニを創り出している。フロントにはFIAグループ3仕様にチューンされ83psを発揮する1088ccエンジンを、リアには出力97psの1212ccエンジンがそれぞれ搭載されていた。このふたつのエンジンによって、超軽量なミニはまさに翼を与えられたごとくであり、ブランズ・ハッチとグッドウッドでジョン・ウィットモア卿により行われたテストで、その速さを証明している。だが、その後ジョン・クーパーがロンドン近郊のサービトン・バイパスでこの独創のモデルをクラッシュさせ、自身も大けがを負うとともに、このツイニの冒険物語にも終止符を打つこととなった。