マツダMX-5 英霊記念レースに参戦してみた 退役軍人たちの走りは
公開 : 2018.12.02 18:40
コースに合わないタイヤ
実のところ、われわれはグリッドにつくことすらできないかもしれなかった。マシンが英国に届いたのはなんと予選の前日。そこから徹夜の突貫作業でサデブのシーケンシャル式トランスミッションを取りつけ(左足の膝上から先がなくクラッチ操作が困難なリアムのためだ)、大急ぎでキャリアカーに積みこんでアングルシーへむかった。
当然ながら走りこんでセッティングを調整する余裕などなく、おまけに11月のアングルシーではありえない、乾いて温度の高い路面向けの、ほとんど溝などないタイヤで乗りこんでしまったのだ。
それでも、練習と予選を通じてロールバーやらダンパー減衰力やらタイヤ空気圧などをいろいろいじくって悪あがきをしてみたところ、これは非常に優れた資質をもつレースマシンであろうことはわかった。
だがコース状態にまるで合わないタイヤでは、速く走ろうとどうあがいても、あえなくコースアウトするばかり。速くても落ち着きのない走り方か、ゆっくりでも(比較的)安定した走り方かの二者択一をせまられたが、12時間耐久とあっては後者を採らざるをえなかった。
1番手は、開始早々から暴れ回りたくてウズウズしているバイシーが務めることになった。最近では英国GT選手権にも出ているだけあって、ステアリングさばきはかなりのものだ。ピットの前を通過するたびにつたえてくるはっきりした手振りから、ハンドリングがいかに散々かはよくわかった。