ヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラー1.6 CDTi
公開 : 2013.04.19 13:01 更新 : 2017.05.29 18:29
■どんなクルマ?
ヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラーMPVの最終的なプリプロダクション・プロトタイプだ。そこには新しい1.6ℓのターボ・ディーゼル・エンジンが搭載されている。
ヴォグゾール/オペルは、現在のラインナップの中で、ディーゼル・エンジンが弱いことは分かっていた。というもの、いままでのディーゼル・エンジンは、フィアットやいすゞのエンジンをベースにしたものを使用していたのだ。事実、ヴォグゾール/オペルはイタリアのトリノにパワートレーン・エンジニアリング・センターを持っていたが、そのセンターはフィアットの提携から生まれたものだった。
新しいミッドサイズのディーゼル・ファミリーを作る計画は2008年にスタートしたと、GMヨーロッパのプロジェクト・マネージャー、ジャンマルコ・ボレットは語っている。その目的は、クラス・トップのパワーを得ると共に、低ノイズ、低バイブレーション、低ハーシュネスを達成することだった。
最終的なプロダクション・エンジンは、アルミニウム製ブロックを持ち、水冷式のバリアブル・ジオメトリーを持つターボチャージャーが組み合わせられた。ブロックに取り付けられるバランサーシャフトはオプションで、そのエンジンがどの市場向けのものかどうかで採用が判断される。英国スペックのヴォグゾールには、取り付けられている。
直噴システムは2000バールで、8ホールのインジェクターを持つ。そのインジェクターは、それぞれのシリンダーに付き10個のプレ・インジェクションを持つ。それはディーゼル独特のガラガラ音を減らすための工夫である。
また、ウォームアップを助けるために、ウォーターポンプは電磁クラッチによってオン/オフが可能だ。
この新しいエンジンは、2014年9月から施行されるEU6にも適合するエンジンだ。
■どんな感じ?
ザフィーラ・ツアラーに搭載されたこの新しいディーゼル・エンジンは、気味の悪いぐらい洗練されている。レブ・カウンターの針が上昇しても、著しく静かなままだ。また、アウトバーンでの追い越しの際も、典型的なディーゼル・サウンドは聞こえてこない。それは、まるでガソリン・エンジンのようですらある。
134bhpを発揮するこのバージョンのエンジンであっても、1600kgというザフィーラ・ツアラーの重さに加え、大人3人が載っているにもかかわらずキビキビとした加速を示す。0-100km/hの実際の数値よりも速い感じがした。
また、組み合わせられる6速マニュアル・トランスミッションも、現行のトランスミッションよりも遥かにスムーズで、ギアシフトも軽い。ドイツのオペルの実験場近くでのテスト・ドライブでは、マイナスな要素が見つからなかったというのが事実だ。
また、その燃費は公称数値を俄に信じるわけにはいかないが、24km/ℓ台という数値は驚異的ですらある。
■「買い」か?
あなたがヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラーを購入予定であるのなら、このバージョンが最も経済的でしかも動力性能も良い。また、このエンジンは、今年後半に予定されているインシグニアのフェイスリフトでも採用される予定だ。インシグニアも良いクルマではあるのだが、その2.0ℓディーゼルは雑音が多く、変速に際しての移動が大きいマニュアル・トランスミッションがネックだった。それが解消されるのだ。
ともあれ、この新しいディーゼル・エンジンがザフィーラ・ツアラーの販売を押し上げる原動力になることは間違いない。
(ヒルトン・ホロウェイ)
ヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラー1.6 CDTi
価格 | NA |
最高速度 | 198km/h |
0-100km/h加速 | 11.2秒 |
燃費 | 24.4km/ℓ |
CO2排出量 | 109g/km |
乾燥重量 | 1600kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ |
最高出力 | 134bhp/3500-4800rpm |
最大トルク | 32.6kg-m/2000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |