AUTOCARロードテスト90周年(3) テスター出身者が回顧 クリス・ハリスも

公開 : 2018.12.15 17:10

ギャビン・コンウェイ

人里離れたウェールズの路上で、テスト車両のマクラーレンF1を目の前にしてそのV12エンジンが冷めていく音を聞いていたのは、1994年5月のことだった。

その時、ロードテスト責任者だったアンドリュー・フランケルが、これ以上速いクルマをテストすることはないだろうと話していたのを覚えている(ブガッティ・ヴェイロンのようなモデルの登場は予期していなかったのだ)。

F1はその636psのパワーで、161km/hまでわずか6.3秒で達し、最高速386km/hを誇る驚異的なモデルであり、25年前、その価格は驚愕の62万7000ポンドだった。

だが、いまでは1100万ポンド(15億9000万円)を出しても状態の良い個体を手に入れるには足りなくなるなど、当時は思ってもみなかった。


ロードテスターとしてデビューするまでに1年以上もかかったので、マクラーレンでは助手席に座れれば満足だった。だから、他のロードテスターたちがサポートカーのバンに押し込まれるのを見て驚いたのだ。

最後にバンに乗り込んだのは英国版AUTOCARが誇るスティーブ・クロプリー編集長であり、彼は近づいてくるとF1のキーを渡しながら、「ホテルで会おう。楽しんで来いよ」と言ってくれたのだ。マクラーレンF1のキーとともにひとり残されたあの時ほど信頼されていると感じたことはなかった。サンキュー、AUTOCAR。

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