龍の棲み処にて ギルバーンとTVRの歴史をたどる 「インベーダー」試乗
公開 : 2018.12.09 15:40 更新 : 2021.02.17 17:44
ふたりの専門家の合作
子供のころ、モーガンは完成したギルバーンがトレーラーに載せられて工場から出るところを覚えている。おそらく、彼は彼自身のクルマの1台が配送されるのを見たのだ。わたしはいつもインベイダーが好きだった。ラインはとてもクリーンかつシンプルだが、かなりアグレッシブで力強い。
しかし肉屋って? ジャイルズ・スミス、チャーチ・ビレッジの肉屋だ。1950年代に人気のあったファイバーガラスボディのクルマの専門家を夢見たひとりだ。スミスはバーナード・フリーズという男に会う機会があった。英国にいた捕虜で、当時ロシアの支配下にあった祖国の東ドイツに帰るよりも英国に残る決断をした男だ。
フリーズはコーチビルダーで働いており、グラスファイバーの経験があった。彼はスミスに当時のスペシャリストのクルマを作るという考えを改めさせ、ふたりで独自にワンオフのクルマをつくることに決めた。
出来上がったクルマはとても素晴らしかったので、ふたりは一台しか作らないのはもったいないと考えた。そして、ふたりの名前の最初の部分を合わせて「ギルバーン」と名付けた。最初の3、4台は肉屋の裏のと殺場だった建物の中で製作された。
そのクルマがギルバーンGTだ。グラスファイバーのボディと角型断面の鋼管から構成されるスペースフレームのシャシーを持っている。最初のエンジンはコベントリーのクライマックスで、つぎにMGのAエンジンとなり、そのあとMGの1800ccBユニットとなった。クルマの名前もGT1800となった。