龍の棲み処にて ギルバーンとTVRの歴史をたどる 「インベーダー」試乗

公開 : 2018.12.09 15:40  更新 : 2021.02.17 17:44

ひどいシートポジション

当然ながら、ギルバーンはインベイダーがそれらしく見えるよう最善を尽くす必要があった。モーガンのインベイダーのダッシュボードはウォールナット製で、スイッチ、ノブ、レバーが所狭しと並んでいる。ウインドウは電動だ。モーガンのクルマではどれも完璧に動作する。

しかし本当に目立った特徴は笑ってしまうようなドライビングポジションだ。「ジャイルズ・スミスは背が高くありませんでした」とモーガンは説明する。明らかにそうだ。アルファロメオ75よりもドライビングポジションの悪いクルマは運転したことがないと思っていたが、ギルバーンはさらにひどかった。

ひざはダッシュボードの下側にあたってしまい、足を広げざるを得ない。しかし3.0ℓV6に火が入ると、不満はほとんど吹き飛んでしまう。エセックスはもっとも偉大なエンジンではないが、トルクは十分だし、フォードのギアボックスに付いているオーバードライブのおかげで、インベイダーはとてもリラックスしてクルージングできる。

ランウィット・ファーダーにあった古いギルバーンの工場は、1974年にギルバーンが廃業した後、分割された。スミスとフリーズは1968年4月に会社をACEグループに売却していた。スロットマシンなどを製造しているグループだ。

ボディを製作していた建物は跡形もなくなくなったが、工場のそのほかの建物はまだ残っており、いろいろな会社が使っている。ピーター・ライオンズという男が経営するタイヤフィッター兼自動車整備工場もそのひとつだ。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事