BMW M6グランクーペ
公開 : 2013.04.19 18:38 更新 : 2017.05.29 18:00
■どんなクルマ?
BMW M5にスマートさを感じられないのであれば、M6グランクーペをおすすめする。このBMWのMディビジョンが送り出す最新のモデルは、昨年登場した第2世代のクーペと第1世代のコンバーチブルに続く、3番目のM6にあたる。
そのレシピはよく知られているとおり、M6グランクーペのボディに、第5世代のM5に搭載される4.4ℓツインターボのV8エンジンと7速デュアル・クラッチを組み込んだものだ。そのパワー、トルクは、英国で販売されている最も速い6シリーズのグランクーペである650iよりも108bhp、3.0kg-m大きい552bhp、69.4kg-mという値だ。
もちろん、M5と比較すればM6グランクーペのほうが、低く、間違いなくそのルックスは良いが、共に4ドア・サルーンという形態ではある。しかし、ホイールベースは2970mmと2965mmと若干ならがM6グランクーペの方が大きい。そして、M6グランクーペが4シーターであるのに対し、M5は純然とした5シーター・モデルなのだ。
■どんな感じ?
同じエンジンを搭載するM5との比較では、M6グランクーペの方が僅かならが5kg重い1875kgというボディ・ウエイトを持つ。ファイナル・ドライブ・レシオはまったく同じ3.15。にもかかわらずBMWのアナウンスによれば、0−100km/h加速はM6グランクーペがM5よりも0.1秒速い4.2秒というタイムを持つ。
トップスピードはリミッターで制限される250km/h。しかし、オプションでドライバーズ・パッケージを選べば、306km/hまで上昇する。一体、このオプションを選ばない人がいるのだろうか。
先週、ミュンヘン郊外のアウトバーンをフルスロットルで駆け抜けた時点で、この最新のMモデルは状況が許せば目のくらむような高いパフォーマンスをノートラブルで発揮することは証明済みだ。とてつもない直進安定性と信頼性の下、驚くべきエンジン・パワーは、M6グランクーペを英国の制限速度の2倍で巡航するクルーザーと化す。その乗り心地は、サスペンション・セッティングを最もアグレッシブなスポーツ・プラス・モードにしても快適だ。
ボディ全長が5m以上あるにもかかわらず、チャレンジングな道でも驚くほど機敏な動きを見せる。ステアリングは正確で、フィードバックも大きい。スポーツ・モードあるいはスポーツ・プラス・モードであればダンピングが良く効いており、高いスピードでコーナーを駆け抜けても確実なボディ・コントロールを示してくれる。
M5と共有するシャシーはアクションにたいして滑らかで、このセグメントのクルマとは珍しいぐらいの繊細さを持っている。スロットル・レスポンスはよく、電子制御のMディファレンシャルはリア・ホイールに与えられたトラクションを確実なものとしてくれるのだ。
最大の市場であるアメリカ向けに、M6グランクーペは、M5よりも僅かであるが快適性を重視したシャシー・セッティングで、スロットル、ステアリング、ギアボックスのマッピングも穏やかな方向に振られているとBMW Mディビジョンのボス、フリードリッヒ・ニチェケは語っていた。
緩やかなスピードを望むのであれば、M6グランクーペは、エンジン・マッピング、ギアボックス、ステアリングをよりリラックスした方向にすることも可能だ。
その構成も良く、ドライブしていて快適で、そして優雅で、伝説的なMのバッジをまとったこのM6グランクーペは、著しく素直なクルマだ。実際、M5よりも素直だろう。唯一問題と感じるのは、ミッドレンジの回転時に起こるストッロル・ロードの不快なサウンドぐらいだろう。
■「買い」か?
BMW M6グランクーペの高い能力は、驚異的であり、間違いなく日常的なユーザビリティにも優れる。但し、伝統的なMの信奉者は、快適性を捨ててもM5を選ぶかもしれないが。
(グレッグ・ケーブル)
BMW M6グランクーペ
価格 | 97,490ポンド(1,470万円) |
最高速度 | 306km/h |
0-100km/h加速 | 4.2秒 |
燃費 | 10.1km/ℓ |
CO2排出量 | 232g/km |
乾燥重量 | 1875kg |
エンジン | V型8気筒4395ccツインターボ |
最高出力 | 552bhp/6000rpm |
最大トルク | 69.4kg-m/1500rpm |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |