新型BMW 8シリーズ840dに試乗 6気筒ディーゼル クラス最高のGTクーペ

公開 : 2018.12.05 10:10  更新 : 2018.12.05 10:28


個性的な部分を楽しめる余裕

スポーツモードを選ぶと、エンジンは最大トルクが発生する回転域を積極的に利用するようになり、ATのキックダウンも積極的に行われる。得られる加速はかなり鋭いもので、エンジンの回りっぷりは、活発な走りを楽しもうとする気持ちも満足させてくれる。

しかし、腕を試されるようなワインディングを、本気で走るような場合でない限り、コンフォートモードのままで、シフトパドルを使って自ら変速した方が良いとは思う。840dのスタビリティもグリップも非常にレベルは高く、スポーツクーペだということを、常に実感させてくれるだろう。

840dのサスペンションは標準ではコイルスプリングで、このクラスでは一般的になりつつあるエアサスペンションではない。一般道での乗り心地は、どちらかといえば旧態然としたもので、やや硬く滑らかさは欠けている印象。上級グレードのM850iとは異なり、アダプティブダンパーとアクティブ・アンチロールバーが装備されていない理由が大きい。

サスペンションの仕上がりに関しては、より洗練されたモデルも存在することには気付かされるかもしれない。しかし、オーナーになってしまえば、完成度の高さと説得力には、きっと満足させられるだろう。

6気筒のディーゼルエンジンは、スムーズで活発に回るスポーティさがあるが、車外で聞こえるカラカラとした音が、最初は気になるかもしれない。しかし、シートに座って普通に運転する限りはほとんど聞こえず、耳につくのはアクセルを踏み込んだ時程度。むしろ少しペースを速めた程度なら、心地よい音が響いてくる。細かいことは気にせず、個性的な部分を楽しんで優雅にドライブをするのが、このクルマにはあっている。

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