AUTOCARロードテスト90周年(4) ロータリーやEV テクノロジーの変遷
公開 : 2018.12.16 10:10
ディーゼルとジェットタービン
そのクールな存在感が示すとおり、2002は翌年のパリ・モーターショーで発表されたポルシェ911ターボほどの狂騒を巻き起こすことはなかった。1970年代、「ポルシェ」と「ターボ」の組み合わせはハイパフォーマンスの同義語だったのだ。
では、ディーゼルはどうだろう? ロードテスターの先人たちは、1933年のパリ・モーターショーで発表された最初の量産ディーゼルモデルを目にしたに違いない。ロザリーと名付けられてシトロエンから登場したこのモデルには、オプションとして1.7ℓのディーゼルエンジンモデルが設定されていた。その後、1936年にはメルセデスから260Dの名を持つディーゼルエンジンを積んだサルーンモデルも登場している。
すべての自動車技術のなかで、その完成までにもっとも時間を要したのはディーゼルエンジンだろう。260Dを運転したことはないものの、おそらくはディーゼルらしさを感じさせるモデルであり、1980年代初頭のディーゼルモデルも依然として五感にそのエンジンの存在を訴えてきた。1978年にメルセデスがターボチャージャー付ディーゼルエンジンを積んだ300SDを発表すると状況にも変化が現れ、翌年にはプジョーから604がデビューしている。
しかし、残念ながら例のごとく、われわれ英国人はこの技術にかなり早い段階で取り組んではいたものの、量産化には失敗している。ローバーではインタークーラー付きターボディーゼルの試作を早くも1963年には行っていたのだ。
だが、はるかに興味深いローバーのプロジェクトといえば、そのジェットタービン計画だろう。そのなかでももっとも有名なモデルは、ロンドンの科学博物館で来場者の注目を集めているJET 1だ。このコンバーチブルボディのコンセプトモデルは1949年から50年にかけて生産され、113km/hがやっとのような見た目をしているが、実際にはその最高速は241km/h以上に達していた。クライスラーも1963年に「タービン」でガスタービンを動力源とするロードカーの量産に近づいたが、実際に生産されたのはわずか50台に留まった。