AUTOCARロードテスト90周年(4) ロータリーやEV テクノロジーの変遷
公開 : 2018.12.16 10:10
ロータリーと無鉛ガソリン そして燃料電池車へ
クライスラーとローバーだけが、新たな動力源へと果敢に挑んだメーカーというわけではない。1964年のフランクフルト・モーターショーで、NSUは史上初のロータリーエンジン搭載モデルとして、ヴァンケル・スパイダー(ロードテスト:2043台目)を公開した。さらにNSUではRO80の量産を進めたが、1977年に生産が終了すると、これがNSUブランドを名乗る最後のモデルとなった。1967年、マツダはロータリーエンジン搭載のコスモ 110Sを発売すると、ローター頂点のシール問題といったヴァンケルロータリー固有の問題解消への道筋をつけていった。
いまのところ、RX-8がマツダ最後のロータリーモデルとなっているが、この魅力的なエンジンを積む新型モデル登場の噂が絶えることはない。
1988年にはランチア・インテグラーレとトヨタ・セリカGT-Fourの比較試乗を行っている。当時わたしのポケットにはトヨタから渡されたパンフレットが押し込んであり、そこには無鉛ガソリンをストックしている数少ないガスステーションの位置が記載されていた。GT-Fourは英国で初めて発売された無鉛ガソリン専用モデルであり、1988年当時、すべてのガスステーションのうち11%でしか無鉛ガソリンを手に入れることはできなかったのだ。
90年間に及ぶロードテストの歴史を通して、AUTOCARテスター陣は多くの技術が登場し、そして消えていくのを目撃している。フォードは1919年にモデルTにスターターモーターを採用し、エンジン始動時に指を痛めるリスクは無くしたことで、電気自動車を駆逐したが、現在では自動車の電動化はわれわれテスターにとって欠くことのできない話題となっている。
過去数十年の間にコンセプトとして取り上げてきた様々な技術、例えば燃料電池車といったものが、いまや主流に加わろうとしている。1997年当時、初めてトヨタ・プリウスのロードテストを行った時、誰がこれほど大きな変化に繋がると考えただろう?