ベントレー・ミュルザンヌ・スピード2019年モデルに試乗 新車の「クラシカル」
公開 : 2018.12.07 10:20 更新 : 2018.12.07 11:24
ベントレー・ミュルザンヌ・スピード2019年モデルに南陽一浩が試乗しました。デビューは2010年ですから、長い時間がだったわけです。しかし、それが独特の風合いを残しています。いま買えるクルマのなかで、おなじ空気を放つクルマはないでしょう。
もくじ
どんなクルマ?
ー ポルシェよりフェラーリより先輩格
どんな感じ?
ー 触る、車内で過ごすだけでテイスティ
ー 飛行機か船のような巡航&旋回感覚
「買い」か?
ー 新車で味わえる「クラシカル」
スペック
ー ベントレー・ミュルザンヌ・スピードのスペック
どんなクルマ?
ポルシェよりフェラーリより先輩格
日本でのデビューは2010年。ユーロ6やポスト新長期規制といった型式認証の厳しさ増す時代に、まだ6.75ℓのV8ツインターボが新車として生き残っている、まずその事実に驚いた。
「ミュルサンヌ」はル・マンの南郊外の小村で、昔日のル・マン24時間で4kmにも及んだ伝説のストレート、ユノディエールの終わりとなるかのコーナーなかりせば、およそその名が知れ渡ることもなかっただろう。
アルナージの由来となった「アルナージュ」はその隣村で、かつて兄弟ブランドだったロールス・ロイスがコーニッシュやカマルグといった南仏寄りのネーミングを好んだことを思えば、ベントレーがル・マンでの戦績と伝統にいかに大切にしているか、うかがえるはずだ。
戦前に5勝、21世紀に1勝。ポルシェやアウディはおろかフェラーリやジャガーに先んじて、世界一有名な耐久レースのもっとも英雄的な時代に、ベントレーは最多勝コンストラクターの先駆となったのだ。
その現代のフラッグシップたるミュルザンヌ・スピードは、5575×1925(ドアミラー開)×1530mm、ホイールベースは3270mm、重量は2770kgという、堂々たる体躯を誇る。
現代の目で見直され気筒休止機構などを備えたとはいえ、基本設計は70年代に遡る6.75ℓのV8ツインターボはフロントボンネット下で600rpmのアイドリング時から、粛々と重量感あるビートを奏でている。
通常、クルマの重量は軽い方が好ましいことが多いが、静止から転がり出しのヌルリとした触感だけで、重さを正当化できる数少ないクルマ、それがベントレーだ。
だが走り出すと、さらに気づかされることが多々ある。