ベントレー・ミュルザンヌ・スピード2019年モデルに試乗 新車の「クラシカル」
公開 : 2018.12.07 10:20 更新 : 2018.12.07 11:24
どんな感じ?
触る、車内で過ごすだけでテイスティ
この日は後席から乗り込み、ドライバーズカーであるベントレーのショーファードリヴン体験から始めた。
足が組めるほどの余裕、葉巻ケースまで用意されたアメニティなど、まるでホテルかラウンジのような感覚で、同門のコンチネンタルGTのリアシートのようにホルスタリーに乗員が嵌まりに行く着座感とは一線を画す。
決定的にルーミーで快適であることは間違いないが、リアシートでも横方向のサポートが優れている。
これがもっと市民的なホットハッチ辺りになると、ドライバーが飛ばし始めたら最後、後席の乗員は転がっているしかない。そうした欠くべからず部分、ミニマム・コンフォートの質が、ケタ違いに高いのだ。
同じくダイヤモンドキルト仕上げのドライバーズシートに収まってみる。肉厚のクッションながらサポート性に優れるという矛盾した心地よさは、変わらない。
液晶タッチパネル全盛のインターフェイスを経験している身からすると、ボタン類の多い内装はひと昔前に感じられるが、燃料計と時計、水温計の3連メーターが中央に配したダッシュボードからセンターコンソールの意匠、今や控えめといえるクローム使いは好感度ポイントだ。
ただしフライングBや、Bモチーフの意匠が、インスゥルメントパネル内にステアリングホイール、タッチパネルにシフトレバー、各シートバックのステッチなどなど、やや過多に感じる。
外装にもいえることだが、フロントフェンダー脇のBモチーフのエアベントなども、ややファンシー。だが文字ロゴが入るようになる直前の時代のデザインと思えば、これはこれで納得がいく。
ヘッドランプのリングや、フロントグリルといったブライトウェアはすべてダークティント仕上げで、2010年代の感覚なりに、アンダーステイトメントを意識した外観なのだ。
インターフェイスやデザインは、新車という見地で眺めたら旧さを感じさせるが、すでにヴィンテージ感というか貫禄を醸し出しているのは、その動的質感だ。