ベントレー・ミュルザンヌ・スピード2019年モデルに試乗 新車の「クラシカル」
公開 : 2018.12.07 10:20 更新 : 2018.12.07 11:24
飛行機か船のような巡航&旋回感覚
6.75ℓのV8ツインターボは、数値的には112.2kg-mもの最大トルクを1750rpmの低回転域から発揮し、最大出力537psに4000rpmで到達する。100km巡航は1500rpmほどだった。
これがどういうことかといえば、タウンスピードから高速道路まで一貫した静粛性の中に、車内は保たれる。
一方で少しアクセルを深めに踏み込めば、ボンネット下で砲列の一斉射撃が轟くような感触とともにミュルザンヌ・スピードは力強い加速を始める。
ボア×ストロークは104.0×99.0mmという、ビッグボアのショートストロークだけに、爆発のツブの揃い方というか、適度な荒々しさとスムーズさが感じられるのだ。
アダプティブシャシー・コントロールも備わっていて、ベントレーモードを標準に、コンフォートとスポーツに切り替えられるが、適度に足が柔らかでステアングの手応えも増すベントレーモードでも、スポーツモードでも、たっぷりと一拍をおいた後に曲がり始める感覚は同じく。街ではステアリングの軽いコンフォートが走りやすい。
「買い」か?
新車で味わえる「クラシカル」
いずれ、この大時代的なエンジンで長大な体躯を押し出して、風の中を切り進んでいく感覚は、戦前車以来ベントレーが守り続けてきた特有のスポーツ・テイストといえるだろう。
それは地上を走る自動車が、飛行機や船と動力機関をまだ共有していた時代の名残りもある。これが新車で味わえるのだ。
参考までに品川~横浜の往復で燃料計は1/3ぐらい減っていたが、もはやおわかりの通り、ベントレー・ミュルザンヌ・スピードは買いか否かという、損得の問題ではない。
一度味わえたら幸運という甘露の一滴ではなく、無限の甘露そのものだ。