ロードテスト プジョー508 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2018.12.08 10:10
内装 ★★★★★★★★★☆
508の均整の取れた、比較的コンパクトなエクステリアから受ける印象は、インテリアにも共通していることに気づく。全幅はこのセグメントとしてはかなり広く、英国の一般道ではやや窮屈に感じられることもあるだろう。しかし、落ち着いて車内を見渡すと、リアシートに3脚のチャイルドシートを並べることはもちろん、大人が3名腰掛けることも、適さないクルマだということがわかる。
大人にとっては、リアシートの頭上空間も膝周りの空間も、ほとんど余裕がなく、典型的な夫婦+子供ふたりの、4人家族向けのクルマだといえる。ラゲッジスペースも、同価格帯のクルマの最大値と比較すると10〜20%は狭い。ちなみにその大きさは、一番狭い部分で幅が950mm、奥行きが1010mm、高さが310mm。しかし、このクラスのサルーンとしては、平均的な大きさではある。フロントシートも、至極快適というわけではない。座面を伸ばすと、太もも部分に気になる段差ができてしまう。
2016年に発売された3008など、近年のプジョー車を運転したことがあればわかると思うが、それらと同じレベルの素材的な豊かさや、特徴的な空間デザインが施されている。だた、やや光沢の強いプラスチックがセンターコンソール周りに目立つし、硬質な安っぽいプラスティック製のパネル類も、車内のあちこちで目につく。アウディやメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなどと比べると、若干荒削りな高級感に感じられることは確か。
しかし、それらのドイツ・ブランドが備えないような、スタイリッシュで個性豊かなインテリアデザインが施され、素材の至らなさを補ってはいる。素材やディティール面での解決にはならないけれど。
508にも採用されているプジョー流のiコクピット。操作系のレイアウトは、高い位置のデジタル・インスツルメントパネルに、低い位置に据えられたステアリングホイールという組み合わせで、すべての人にフィットするわけではないと思う。しかし改善を受けており、他のプジョー車ほど困惑するものではなくなった。
ダッシュボードの中心、左手を自然に伸ばした先には「ピアノキー」と呼ばれるインフォテインメント・システムのショートカットボタンが並ぶ。モニターの位置を下げれば、アームレストに左腕を乗せたまま、タッチモニターで主要機能の操作もできたであろう場所なだけに、賛否は分かれそうだ。
テスト車両のGTグレードは、自然な質感が心地よいフルグレイン仕上げのフルレザー内装となるが、中級グレードではハーフレザー仕様となる。全体的に、個性的なインテリアは、ライバルたちと比較すると、このクルマのストロングポイントだとはいえるだろう。