試乗 新型トヨタ・スープラ・プロトタイプ(A90) BMW Z4兄弟車、日本で評価
公開 : 2018.12.08 00:01 更新 : 2021.01.28 18:01
GRテスターのひとこと
新型スープラはニュートラルステアにこだわった、ということだけれど、いかに前後重量配分が50:50だろうと、ドライバーは後輪の直前に着座して長いノーズを見ながら運転することになる。
直6をフロントに搭載する2座の後輪駆動車というのは、オーセンティックというかクラシックというか、リア・エンジンやミドシップのモダンなフィーリングとは、当たり前だけれど、根本的に異なる。ようするに、スッと鼻が入っていく感覚が、申し訳ないけれど感じられないのだ。あくまで筆者個人の感想である。
いったいどうやって走ったらいいのだろう? と思った筆者は、GR、トヨタのスポーツカーのテストドライバーのひとに率直に訊ねた。すると彼はこう言った。
「いろいろ景色を見て走ればいいんじゃないですか」
このひとことで霧が晴れた。スポーツカーはサーキットがすべてではない。そのことはスープラの開発陣も当然わかっていて、ヨーロッパ、アメリカで公道テストを繰り広げた。
BMWとトヨタが共同で開発した新型スープラは、バイエルン名物の白ソーセージ、あるいは白アスパラガスに名古屋名物の八丁味噌をつけたようなもので、そういうたとえをするとわたしを含む日本のひとはゲゲッと思うかもしれないけれど、世界は和食ブームである。主舞台はアメリカだけれど、それを待っているひと達がたくさんいることもまた確かなのだ。なにしろBMWクオリティがトヨタの価格で買える。グローバリズムも悪いことばかりではない。