マクラーレンMP4-12C 「雲の上」ではない? (比較的)お買い得 試乗

公開 : 2018.12.22 11:40

試乗車はマクラーレン所有

つまり、改良済みでボディもカーボン製のマクラーレンが、ロータスエヴォーラの中級モデルなみの8万5000ポンド(1213万円)から手に入るということだ。おもわずグラッとくる話だが、そのまま身を委ねてしまっていいものか、あらためて見てみることにしよう。

今回の試乗車は、マクラーレン所有のヴォルケーノ・オレンジに塗られた12Cスパイダーだ。当然ながら状態は完ぺきで走行距離もわずかだから、これ自体は10万ポンド(1427万円)以下で買える代物ではない。

だが運転する上では、りっぱに健康体の12Cの代わりになる。クーペの屋根も応力構造としての働きはないので、その点で選ぶところはまったくないのだ。

それで、もはや古臭く感じてしまうのだろうか? ありていにいえばそうだが、そんなに酷いわけではない。鈍重で韓国メーカーのコンセプトカーみたいだと登場時にそしりを受けた風貌も、いまは目を見はるほど味が出ている。ヴォルケーノ・オレンジの塗装はともかくとして、のっぺりというよりは慎ましいと言いたくなるし、以後に登場した劇画調スタイルのスーパーカー勢よりも時の流れに耐えるデザインにみえる。


内装は分別を感じさせるものだ。マクラーレンの後のモデルと同じく、目の前の大きなレブカウンターとドア内側に配された空調コントロールには、ドライバーからの良好な視界をなにより重視する理念が現れていて好ましい。カーナビは使い物にならないが、あのころのフェラーリよりいくぶんはマシだろう。さあ、スタートボタンを押して目を覚まし、お手並み拝見といこう。

マクラーレンの血筋は、走りだしてすぐに感じられる。クルマの基本姿勢、視界、操作系の重み、運転姿勢そして人間工学的な設計に現れる哲学は、最新の720Sと寸分も変わらない。だから、新しいマクラーレンを経験済みという恵まれたひとでも、12Cは予想以上に馴染みやすいだろう。

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