AUTOCARロードテスト90周年(1) 伝統の緻密な計測 時代に応じた変化

公開 : 2018.12.15 10:10

あの悪名高い「フィフス・ホイール」とは?

1960年代になると、AUTOCARのロードテストのデータは現在のように大きく取り上げられ、掲載されるようになった。ただし、記録するデータの内容はかなり異なる。

加速テストの結果は似通っているように見えるが、エンジンの牽引力(あるいは縦加速力)はタップレー・メーターで記録され、燃費は流量計を燃料パイプに挿入し、さまざまな巡航速度で記録されている。さらに、ブレーキ性能についてはかなり詳しく記されているのだ。

ロードテスト番号1760、1960年2月5日にフォードのギャラクシー・セダンに対して行われたテストでは、クルマの制動距離を調べる際に細かい条件が設定された。

例えば、時速48km/hで走らせたクルマのブレーキペダルに11kgの負荷をかけた時の制動距離や、同じ速度で負荷を倍の23kgにした時の制動距離などだ。ちなみに、結果はそれぞれ18mと12mだった。

のちのツールキットにブレーキペダル圧力センサーが加わると、制動力だけではなく、ブレーキフェードへの耐性を計測してグラフ化できるようになった。この頃の、ブレーキ性能、ブレーキの耐久性、ブレーキシステムの使いやすさによって技術的に優れたクルマとそうでないクルマとを線引きする方法は現在よりもはるかに良いと言える。

AUTOCARのロードテスターが使うツールキットの中で評判の悪いフィフス・ホイールは、1960年代半ばに登場した。このツールが最初に使用されたのは、1967年1月5日、ジェンセン・インターセプターのテスト(0-97km/h加速 7.3秒)のようだ。

これは、テストカーのリアバンパーに固定されたアームに、軽量の自転車ホイールが搭載された装置である。そのホイールハブにはスピードセンサーが付いている。当時のテスターは、これ以前の電気式スピードメーターのように、フィフス・ホイールを使って正しいスピードを知ることができた。しかもテストごとに毎回表示を調整する必要がなかった。このツールは1970年代の間ずっと使われ、80年代に入ると記録中に加速データの印刷が可能な初歩記録システムが組み込まれて発展した。

しかし、フィフス・ホイールにも限界はあった。テスターたちによると、車体のデザインが変わるにつれ、取り付けにくくなったそうだ。スチール製バンバーが時代遅れとなったため、装置の締め具として吸盤が使われるようになったが、速く走っているクルマに追加のホイールを固定する方法としては頼りなかった。

マスター・ロードテスターでAUTOCARにもよく登場するジョン・シミスターは、「フィフス・ホイールは何度も外れて壊れました」と話してくれた。「時間的制約により仕方がないのですが、使っていたひとはたいいていそのまま放置し、次に使うひとが直していました」

その後フィフス・ホイールに取って代わったツールは何だろうか。

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