AUTOCARロードテスト90周年(1) 伝統の緻密な計測 時代に応じた変化

公開 : 2018.12.15 10:10

より小さく、より正確になった測定ツール

1980年代までにデジタル時代が到来し、AUTOCARが現在の出版社から発刊されるようになって間もなく、ロードテスターの武器となったのはボックス型をしたダトロン社のコレビットだった。これは、コンピューターにつないで、車速と、地上に対する角度と距離を測定できる光学センサーだ。

ところがコレビットは、初期のオペレーターたちからはあまり気に入られなかった。「わたしが1988年にロードテストの編集デスクに異動して以降、10年ほど使ったテスト装置はコレビットだけでした」と思い出しながら話すのは元ロードテストエディターのアンドリュー・フランケルだ。

「嫌でしたね。地上から一定の距離を保つため、車軸の中間位置でクルマの側面に取り付けなければならず、空力抵抗に悪影響を及ぼすので最高速度を出せなかったんです。悪天候では使えなかったですし。それに、何を記録するにしても過度の試行が必要で、コ・ドライバーが何度も何度も調整しなければなりませんでした」

当てにならないコレビットに対する不満が溜まったテスターたちは、1990年代始めにタイミングギアを使うようになった。しかし、テストカーのホイールハブに取り付けて使用するこの装置は、すぐに使われなくなった。かつてのフィフス・ホイールのように取り外されてしまったのだ。

その後、1996年頃になると、イギリスのレースロジック社が開発したサテライト・タイミングギアがロードテストを革命的に変化させた。信頼性が高く、比較的使いやすく、誤差が最大で秒速1cm以内で、メモリーカードに記録したデータは後でコンピューターで詳しく分析することができた。

われわれは性能データを記録するのに今もサテライト・タイミングギアを使っている。ただし、トランプぐらいの大きさのVboxスポーツというデバイスにパッケージされ、ブルートゥースでスマートフォンにデータを送ことができる。

少し前まで、そのギアは重いバッテリーを動力とし、長いケーブルでつながれたブルーボックスとデジタルディスプレイのネットワークで構成されていた。このキットは、青いハードタイプの携帯ケースに入れられていた。それを持っていると、まるで有事に世界的リーダーに核ミサイル発射コードを届けるひとのように見えた。

ロードテストに関して言えば、1980年代を通してさらに多くのブレーキ・テストが盛り込まれ、同時期からキャビン・ノーズ・テストも行われるようになった。その後、過去10年間の半ば頃から高性能車のベンチマークとしてサーキットのラップタイムも計るようになった。

これはウェットとドライの両方の路面状況で実施された。世界最速のクルマは、イギリスのサーキットで実際に測定可能な最高スピードよりも速く走れるため、われわれはその性能の範囲、幅、そして限度を完全に検証できる別の方法を考案した。

そしてわれわれは、現在もどこよりも優れた一貫性と再現性でより良いテスト方法を考案し続けていると自負している。

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