三菱デリカD:5新型に試乗 変更点は外観のみならず 走破性/一般道で検証
公開 : 2018.12.18 10:10 更新 : 2021.09.11 00:20
オンロードを走らせた印象
オンロードではフットワークが激変していた。
従来車はオフローダー特有の軸規制の緩さがあり、それが操安と乗り心地の両面に悪さをしていたが、新型車にはまったくない。
操安面では操舵の精度感が変わった。従来車から方向安定を重視した操縦特性だったが、微妙に揺らぐような曖昧さが伴っていた。ところが新型は舵角をピタリと決めて狙ったラインに乗っていく。ドライバーだけでなく同乗者にも感じられる安定感が印象的だ。
また、パワステを電動化して一新したもともあり、操舵の据わりも大幅によくなっている。ワインディング路を走るプレッシャーの少なさはワンボックス型ミニバンでもトップクラスである。
乗り心地は車軸周りのドタバタした揺れがなくなって質感が高まったのが好印象。硬柔の評価軸では大きく変わっていないが、ストロークで揺れを吸収していくような滑らかなトレース感と不要な揺動の少ない洗練感は従来車には感じられなかったもの。
従来車比較で悪化した点と言えるのは、悪路で窪みにタイヤを落とした時や段差の当たり感が強まったことくらいだが、それを殊更にあげつらう必要もないだろう。しかも悪路踏破は新型で無理な状況は従来車でも無理。フットワークは全面的に向上したと言っていい。
パワートレインも全面改善。巡航ギア維持でのドライバビリティと力強さ。浅いアクセル開度でのトルク立ち上げがスムーズであり、ペダル踏み込み量も自然と減少する。そういった扱いやすい回転域が拡大しているので、ダウンシフトを伴う加速も途切れなく心地よい。オフロードの極低速走行もワインディング、高速も余力感があり、同じ2.2ℓながら新型は排気量アップしたような錯覚を覚えるほどだ。
さらに騒音の改善も目覚ましいものがある。従来車は最近のディーゼルでは珍しいほどカラカラとかコンコンといったディーゼル燃焼音が目立ったが、新型は穏やかな音色。静粛性や音質で目立ったアドバンテージはないものの、最新のクリーンディーゼル車らしいエンジン音となり、これも走りの質感向上に大きく寄与していた。