AUTOCARロードテスト90周年(7) 乗り心地と操舵 最大の革新分野
公開 : 2018.12.22 10:40
ミドシップの採用が転機に
小型ハッチバック車のほとんどは、今日にいたるまで空間設計も容易でコストも低い非独立トーションビームアクスル式のリアサスペンションを使っているが、最近は中型ハッチバックでも採用例が増えている。
とはいえこの分野で歴史の分かれ目となったのは、1966年のジュネーブ・モーターショーでお披露目され世界中に衝撃をもたらしたランボルギーニ・ミウラをおいて他にはなかろう。
はじめてミウラを見たひとはみな、顎がはずれんばかりに驚いた。エンジンの搭載部位がフロントでも、ポルシェや当時の小型車の多くで指定席だったリアでもなかったのだ。
レース界でこそ当たり前となっていたが、公道用の車両で重量物を中心近くに集めるというミドシップ方式の発想は非常に新しいものだった(もっとも歴史をひもとけば、ミウラは初のミドシップ生産車ではない。その栄誉に浴するのはマトラ・ジェットだ)。
もっともミウラの基本構成に瑕がなかったわけではなく、とくに天地軸まわりの慣性モーメントの小ささはスライドを誘発しやすいうえに、その対処も困難だった。だがその反面で、トラクションやハンドリング面での利点は無視できないものがあった。