AUTOCARロードテスト90周年(7) 乗り心地と操舵 最大の革新分野
公開 : 2018.12.22 10:40
タイヤの能力不足
ミウラの跡を追うこと2年、ミドシップ車は軽量に仕上げて入念な設計をほどこせば何よりすばらしいハンドリングマシンになりうることを、フェラーリがディーノで証明したのだった。
ボディ構造とサスペンションについては1970年代までに(あらかた)開発し尽くされてきたが、クルマ自体はもっとも基本的なところで本来の性能を発揮できずにいた。というのも、クルマが最終的に地面と結びつくほんのちいさなゴムの部分、すなわちタイヤの能力が追いついていなかったからだ。
もちろん、タイヤ技術も1920年代からまるで進んでいなかったわけではない。とりわけ、ミシュランが考案し1948年のシトロエン2CVがはじめて標準装着したラジアルタイヤは、確実なグリップとよりすぐれた乗り心地を両立する上で長足の進歩といえた。
だが時代が下っても、あのフェラーリにして1970年代半ばの時点で装着していたタイヤは、現代のおとなしめな部類のホットハッチにすら釣り合わないサイズでしかなかった。たとえば、308GTBの標準サイズは205/70だったのだ。