AUTOCARロードテスト90周年(7) 乗り心地と操舵 最大の革新分野

公開 : 2018.12.22 10:40

ニュルブルクリンク ラップタイムの推移

エンジンパワーの要素もおおきいのはたしかだが、「ニュル」のラップタイムはシャシー性能の進化を見るうえで良いバロメーターになるのではと思う。そこで、もっとも息の長いスポーツカーであるポルシェ911を題材に、今世紀に入ってからのその進化の過程を見てみたい。もちろんドライバーもちがえばコース状況も計時手段もことなるから、厳密な分析ではなく大まかな傾向をつかむためのものであることはご了承いただきたい。

さて、21世紀がはじまった時点で最速の911は、1999年に8分3秒の周回タイムを記録した996世代のGT3だった。だがその5年後、特別モデルでもないカレラSが7分59秒の記録をつくる。

世代が997となってからは、2007年にGT3が7分33秒を記録し、ついで2010年にはあの強烈なGT2 RSが7分18秒とさらに上をいった。

そして驚異的なことに、そこから20秒以上も縮めて6分56秒を叩きだした現行のGT3 RSは、なんとパワーでは100psもすくないのだ。おまけに365psも上のハイパーカー918が2013年に記録したタイムすら上まわる。

この事実の前には、現行のGT2 RSがのこした6分47秒という歴代911最高記録も影が薄くなるかもしれない。とはいえその記録にしても、1983年にそのニュルでは最後の開催となった1000km耐久レースに当てはめれば予選7位、つまりグラウンドエフェクトを最大限に追求したボディと極太のスリックタイヤで武装した当時のプロトタイプ・レーシングカーの中においてもそうとう速いということなのだが。

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