AUTOCARロードテスト90周年(7) クルマの購入/所有の変遷、整備まで
公開 : 2018.12.23 10:10
昔、クルマは手を汚して乗るものでした。新車を買っても自らの手で頻繁な整備が必要だったのです。それが今ではDIY整備自体がほぼ不可能なほど高度化しています。クルマの購入方法自体も大きく変わり、ひとびとは高価なクルマに手を出すようになりました。
もくじ
ー 新車ですら重整備が必要だった時代
ー 今ではDIY自体がほぼ不可能に
ー 10万km程度で骨格が腐食
ー 金融商品の発達により買いやすく
ー 信頼性が格段に向上
ー 安全面の進化
新車ですら重整備が必要だった時代
グリース・ポイント、カーボン除去、キャブレターのダッシュポット調整。1928年から1970年代頃までは、まっさらの新車を買っても歌姫に扱いの大変な整備計画がもれなくついてきた。そして運転するのとおなじくらいの時間をかけてがんばって整備しても(あるいはお金にかえてディーラーにまかせても)、大枚を投じたその硬いはずの鋼鉄の物体は徐々にサビとなってボロボロと崩れ落ちていったのだ。
どれほどきっちり手をかける必要があったのか、1950年代初頭のモーリス・マイナーの取扱説明書を見ればよくわかる。
まず800kmごとに、ステアリングギアボックスの6カ所にあるニップルへそれぞれグリースガン3発か4発ほど補充を行うこと。そして1600kmごとに、ギアボックスとデフのオイル量、ブレーキのマスターシリンダーとSUキャブレターのダッシュポットの状態を確認すること。そうそう、プロペラシャフトのジョイントにもグリース補充が必要だ。
また4800kmごとにこんどはエンジンオイルの交換、ディストリビューターとダイナモの軸の潤滑。そしてコンタクト・ブレーカーのロッカーアームの軸にも軽くグリースを塗り、電気式燃料ポンプの状態も確認しなければいけない。さらには、9600kmと19200km時点の項目も控えている。