AUTOCARロードテスト90周年(7) クルマの購入/所有の変遷、整備まで
公開 : 2018.12.23 10:10
金融商品の発達により買いやすく
プレス鋼板製モノコックボディの登場で使われる素材の種類は減ったかもしれないが、かわって溶接の継ぎ目から出てくるサビがますます問題となった。腐食につ良いボディをおおくのメーカーが造れるようになったのは、やっとここ30年ほどのことなのだ。
さて、クルマは一般に住宅に次ぐ人生で2番目におおきな買い物だが、メーカーや金融機関はユーザーの経済的負担を和らげようと(あるいは少なくとも先のばしにさせようと)、いろいろな支払い方法を考えだしてきた。そしてこれまでに述べた幾多の問題もものともせずにマイカーを夢見るひとびとも、喜んでそれらの恩恵を受けてクルマを手にいれてきた。
昔はよくツケや月賦などと呼ばれたが、その信用販売が普及すると新車販売は一気に加速した。一括でポンと買えるほんのひと握りのひとだけでなく、分割払いのおかげでみんなが買えるようになったのだ。
いま、英国では80%以上のひとが残価設定ローンでクルマを購入している。本来の代金のほんの一部をきまった期間だけ分割で払えば良いというこの気前の良い仕組みによって、純真だったはずのお客はより高価なクルマを志向するようになった。期間が終わればクルマの返却も可能だが、多くはまた新しくローンを組みなおす。
こうして手の届かなかったはずのクルマを買うひとが増えるにつれ、産業も成長しユーザーもより甘い蜜の味をたのしめるようになったのはまちがいない。