AUTOCARロードテスト90周年(最終回) さらに90年後、2108年のクルマ像を予想
公開 : 2018.12.24 10:10
クルマはすでに成熟の域に
いろいろと予想してきたが、最後にひとついいたいことがある。クルマがこれからの90年どこへ向かおうと、その変化の大きさはこれまでの90年と比べてほんのわずかでしかないだろうということだ。
考えてみてほしい。90年前の標準的な自家用車といえば80km/hで走るのがやっとの、ただの箱同然の代物だった。音はうるさく乗り心地は悪く、危険で信頼性も低かった。
対するいま、同じ立場にあるクルマはフォルクスワーゲン・ゴルフだろう。では、この90年のほぼ半分にあたる1974年の時点で手に入った最高のファミリーカーは何だったか。それも、前輪駆動のハッチバック型モノコックボディに当時最先端の設計と信頼性、さらに安全性と経済性を兼ねそなえた、同じフォルクスワーゲン・ゴルフではなかったか。
進化のスピードは世代ごとにどんどん鈍ってきたわけだが、次の世代も、そのまた次もこの傾向にかわりはないだろう。
化石の研究で明らかとなったことだが、ある種のサメははるか何百万年も前にもう進化を止めてしまったという。もうそれ以上変わりようがないところまできてしまったのだ。
翻ってクルマはといえば、まだそこまでではないかもしれない。ただ大変革の段階はとっくの昔に過ぎ去り、成熟の域にある製品になってしまったのは間違いのないところだろう。