ロードテスト DS7クロスバック ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2018.12.30 11:40 更新 : 2022.04.23 12:04
走り ★★★★★★★★☆☆
DS7クロスバックに搭載される、PSAのピュアテックと呼ばれるガソリンエンジンは、メカニカルの部分で優れた洗練性を備えている。フルスロットルで加速する際も、レッドゾーン間際ではかなりうるさいノイズを発するものの、それ以外は穏やかなハミングを響かせる程度。タコメーターの針は鋭く回転したがるわけではなく、5000rpm以上の回転数では、力を出し切った状態になる。
われわれが計測した1.6ℓエンジンの場合、3速でレッドゾーンまで回した状態での車内の騒音レベルは78dB。適正なギアでの112km/hでの低速走行時は、68dBだった。ちなみに、2016年にテストしたトヨタC-HRハイブリッドでは、同じ条件で73dBと67dBだったから、C-HRがハイブリッドシステムを搭載していることを考えると、DS7は健闘しているといえるだろう。
加速テストでは、メーカー値とわれわれの計測結果とで、大きな開きはなかった。0-100km/h加速では、メーカー値が8.3秒で、ドライコンディションで2名が乗車した状態でわれわれが計測した結果は、8.6秒となっている。
クロスバックの積むピュアテック・エンジンはある程度回転数を上げればたくましく、235/50というタイヤサイズながら、フル加速時は瞬間的にスリップする場面もあった。ディーゼルエンジンのボルボXC40 D4と比較すると、ガソリンエンジンならではの強みが発揮され、48km/hから112km/h加速ではDS7クロスバックの方が0.5秒速く、0-160km/h加速ではほぼ5秒も速い数字を出している。
現状では、クロスバックにハイブリッドなどの電動のアシストは入らないものの、充分に活発で、高速道路への合流や、登りの追い越し車線でも、不満を感じることはないだろう。スロットルレスポンスも悪くなく、ATの変速も全般的にスムーズで変速時間も短い。ただし、低速域で減速する場面では、ATがやや躊躇する振る舞いが見られた。
積極的に運転したい場面では、ATはマニュアルモードも選択でき、ステアリングコラムに取り付けられたパドルを用いて任意に変速も可能。といっても、ATの反応はおっとりした性格で、パドルの操作感も薄味なものだから、変速が楽しいと感じられることはないかもしれない。
ブレーキは、フロントがベンチレーテッドディスクで、リアがソリッドディスクとなる。112km/hから静止するまでに要した距離は46.5mで、SUVの中では優れた結果だといえる。強いブレーキング時には、脚まわりがソフトで背の高いSUVからイメージできる範囲で、フロントへ荷重が移動し、ノーズダイブも見られる。しかし減速時の安定性は高く、不安感をあおるようなことはない。
テストコース
スポーツモードも存在するが、積極的な走りを身上としたクルマではないことは明らか。しかし、柔らかい設定のサスペンションは、起伏や轍などを完全にいなせるわけではないようだ。おなじみミルブック自動車試験場の丘陵ルートのきついコーナーでは、重心高の高いSUVが故に、カーブのきつさを強調して感じられた。
脚が引き締まるドライビングモードを選択しても、ステアリングホイールの重さは増すものの、スローなステアリングのギア比設定自体に変化はない。つづら折りの道では、思った以上に大きなステアリング操作を求められることになる。また、頑張ってペースを速めていっても、グリップ力が充分ではなく、ややトリッキーな挙動を露呈してしまう。
T1セクションの大きな起伏では、クロスバックの柔軟なサスペンションが効果的に活かされ、滑らかにいなすことができていた。T2セクションの急カーブへ突っ込む際、かなりノーズダイブしたが、荷重が前に移動しアンダーステアを軽減していた。シフトパドルを用いた変速で、T5セクションの上り区間でも、4気筒エンジが生む30.4kg-mのトルクを、上手に発揮させることが可能だ。
発進加速
DS7クロスバック・ピュアテック225プレステージ
テスト条件:乾燥/気温21℃
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:145.8km/h)
0-1000m発進加速:29.1秒(到達速度:187.3km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:10.1秒
ボルボXC40 D4 AWD(2016)
テスト条件:湿潤/気温5℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:135.3km/h)
0-1000m発進加速:30.3秒(到達速度:172.6km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:9.7秒
制動距離
DS7クロスバック・ピュアテック225プレステージ
テスト条件:乾燥/気温21℃
97-0km/h制動時間:2.89秒
ボルボXC40 D4 AWD(2016)
テスト条件:湿潤/気温5℃