ゾルフェ・クラッシックGTC4 2.3
公開 : 2012.03.23 17:57
■どんなクルマ?
前ケーターハムのテクニカル・ディレクター、ジョズ・コーツが造り上げたフロント・エンジン、リア・ドライブの2シーター・スポーツが、ゾルフェ・クラシックGTC4だ。
そのクルマには過剰な装備もなく、豪華さとは無縁な存在だ。会社の名前もゾルフェ・カー・カンパニーでもゾルフェ・カーズでもなく、シンプルに響きのよくないゾルフェというだけだ。
英国中部の企業家でありプラスティックの権威であるニック・ストロングが投資し、デザインは前述のコーツが担当した。この他、スタドコ、MTCE、APレーシングおよびエイボン・タイヤの協力によって、ジネッタの新しいG40Rにも似た魅力的でシンプルで基本に忠実なスポーツカーが生まれた。
アンチロック・ブレーキ、パワー・ステアリング、トラクション・コントロールは、ピュアなドライヴィングという点から装備されていない。
エンジンはマツダあるいはフォードの180bhpから300bhpまでチューンされた4気筒ユニットを搭載する。テストした車両は2.3リッター、280bhpのフォード・ユニットを搭載していた。
サスペンションは不等長のダブル・ウィッシュボーンがされ、ブレーキはAPレーシングによる大径のベンチレーテッド・ディスクが奢られる。
その最大の特徴はゾルフェの乾燥重量にある。ケーターハム時代のコーツを知っている人は、彼が車重に対して非常にシビアであることを知っている。そして、ゾルフェの車重は、驚くべきことに698kgに抑えられた。つまり、1トンに付き401bhpというパワー・ウエイト・レシオを持つ。
■どんな感じ?
自分が考えるよりも30cmほどバケット・シートを後部へずらして、身体を巧みにコクピットに滑りこませることが要求されるが、一旦座ってしまえばゾルフェは素晴らしいドライビング・ポジションを提供してくれる。そのポジションは本当に低い。ステアリングとペダルの位置もジャストフィットだ。そして、終わリの内容に思える長いフロント・フードを前方に見ることとなる。
キーを回してエンジンに火を入れる前であっても、W.E.ジョンの書いた小説の主人公、ビッグルズになったような感じを受けるだろう。チューンされたフォード・エンジンの酷いサウンドと共にエンジンは目覚める。その音はアイドリング時でも不快なものだ。
ギアボックスはマツダMX-5から流用されたものだ。クラッチを踏む左足の筋肉がわずかに震える。
走り出して感じるのは、意外に乗り心地が良いということだ。いや、意外ではなく、ほんとに素晴らしい乗り心地だ。その外観からは想像ができないほどにダンピングが良く効いていて、洗練されているのだ。また、ステアリングは狙い通りのラインをトレースできるしっかりとしたものだった。
最初の数百メートルは、濁ったサウンドがドライバーを包みこむが、そのインプレッションは総じて驚きに値すべきものであった。また、ギアチェンジとステアリング操作の気持ちよさもあって、シャシー全体のフィーリングは、ハンドメイドといった感じが全くしない優れたものであった。
■「買い」か?
終わりのない可能性を感じさせるクルマだ。このクルマを楽しむためには30,000ポンドから40,000ポンド(400万から500万円)のコストが必要だが、そのコストが払えるのであれば、直線だけでなくワインディング・ロードでも法外に速いクルマを手に入れることができよう。
あなたがよほどの慎重派でなければ、このゾルフェはあなたの理性を奪うことになるだろう。私自身も、公道上において、自分の心が奪われていることに気づいた。
もちろん、ゾルフェは万人向けのクルマではない。ただ、濡れることを望まないケーターハムのオーナーや、ジネッタG40Rを購入しようと考えている人にとっては打って付けの1台だろう。
(スティーブ・サトクリフ)
ゾルフェ・クラシックGTC4
価格 | 32,000-38,000ポンド(418-496万円) |
最高速度 | 225km/h |
0-100km/h加速 | 4.5秒 |
燃費 | 9.2km/l(テスト時平均) |
Co2排出量 | NA |
乾燥重量 | 698kg |
エンジン | 直列4気筒 2300cc |
最高出力 | 280bhp/7500rpm |
最大トルク | 27.7kg-m/6000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |