ロールス・ロイス・ファントムV（1959年）

これほど優雅なルックスと王室との繋がりを感じさせるモデルであることを考えれば、ロールス・ロイス・ファントムVの価格は驚くほど控え目と言えるだろう。

実際の出物は非常に少なく、その価格も6万ポンド/9万ドル（1000万円）以上となるが、それで威風堂々としたリムジンを手に入れられるのだ。

ロールス・ロイスではH.J. ミュリナー、ジェームズ・ヤングやパークウォードといったコーチビルダーが手掛けたボディをスタンダードとしてラインナップしていたにもかかわらず、ひとつとして同じ仕様をもつ個体は存在しないが、すべての車両がスムースな6.23ℓV8エンジンと4速オートマティックギアボックスを組み合わせていた。

合計で516台が生産されたファントムVのうち、数台が英国王室へと納入され、多くは世界中のリーダーたちのもとへと嫁いでいる。

だが、1967年、ジョン・レノンは自身が所有する1965年製ファントムのボディに、アーティストのスティーブ・ウィーバーによるロマのジプシー文化を想起させるサイケデリックなカラーリングをほどこすことで、センセーションを巻き起こした。

このクルマにはそのカラーリングだけでなく、テレビと無線式電話が装備され、さらにはダブルベッドまでが設置されていたが、ほとんどのファントムはよりフォーマルなベンチシートと跳ね上げ式シートを持ち、最大6名の乗員を収容することが可能だった。

レノンのファントムは現在カナダのロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館で展示されている。

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