スーパーサルーン対決 パナメーラvsラピード 感性で選ぶなら 回顧録
公開 : 2019.01.03 07:40
古典的レイアウトのアストン
したがってアストンは、大気圧でのみ呼吸する6.0ℓV12のエネルギーを、普通のトルコン式6段ATを介して後輪のみに伝達する形を最新モデルでも採っている。オンボードのエレクトロニクスにしても、ラピードのナビゲーションシステムはパナメーラのそれに比べると、むしろチャールズ・バベッジ(19世紀の英国人数学者)のほうが雰囲気としては似合いそうである。
少なくともパナメーラは、目に付くところに停めておいたら通りがかった通行人の好奇心をおおいに刺激するはずで、ツッフェンハウゼンの本社工場に勤めているポルシェの社員でもない限り、そういう人たちに納得のいく説明をするのはむずかしいだろう。
対するラピードのほうには、違和感はほとんどないはずだ。見る側に少しでもDB9に関する知識があれば、必要とされるインテリアパッケージを得るためにDB9を控えめに大型化したのがラピードなのだと、すんなり納得できる。
そのラピードには、英国人の標準的な価値観で見る限り、ゴージャスという言葉ほどふさわしい形容はない。一方のポルシェはパナメーラに限らず、これまでも見るからに不格好なクルマをいろいろと出してきた。
結局は見慣れてしまうのだが、ことパナメーラに関しては、少なくとも現時点ではそこまで至っておらず、ラピードと並んで走っていると誰も好意的な言葉を寄せてはくれない。だが、それではこのクルマが持つ本来の価値を、あまりに低く見積もっていると言わざるを得ないだろう。