スーパーサルーン対決 パナメーラvsラピード 感性で選ぶなら 回顧録

公開 : 2019.01.03 07:40

加速力はパナメーラの圧勝

確かに単純にカタログ上の数値だけを見比べれば、この2台の動力性能に語るべき大差はないだろうと結論付けてしまいかねない。500psのパナメーラは477psのラピードよりも多少パワーで優っているが、そのぶん車重も増えているからだ。しかし、右足をひと踏みすれば周囲を唖然とさせるだけの加速力をパナメーラが備えているのは、厳然たる事実である。

パナメーラはラピードの61.2kg-mより2割近く大きい71.4kg-mの最大トルクを持ち、さらにそのトルクを2250rpmで発生している事実に注目していただければ自明だろう。絶対的数値ですでに上回っているうえに、発生するエンジン回転数が半分より下なのだ。

4WDのおかげもあり、パナメーラはウェット路面ですら、0-100km/h加速で5秒を大幅に下回るタイムを安定して出せる。しかもわれわれが行った計測は、大人4人が乗車してのものだ。路面が濡れていたら、万にひとつもラピードに勝ち目はないわけだ。

もっとも、圧倒的なパワーがそのまま走りにおける圧倒的な優位を意味するわけではない。ポルシェにとってはあまり聞きたくないニュースだろうが、アストンの直近の製品であるV12ヴァンテージは走りの実力について非の打ちどころがないクルマであり、それが偶然の産物ではなかったのである。

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