スーパーサルーン対決 パナメーラvsラピード 感性で選ぶなら 回顧録
公開 : 2019.01.03 07:40
ワインディングでも楽しめる
決定的だったのは、ウェールズの山岳地帯を抜ける長いワインディングでの走りだ。道幅は狭く、どちらかというと今回のような重量級よりもケーターハムやエリーゼが得意とする道だったが、そこでラピードは、加速力やグリップでの相対的ハンディをはねのけるどころか、あまりあるほどに自信を持って走れる実力を備えていることを、完璧な形で見せつけたのである。
千変万化する足元の状況を正確に伝え続けてくれるので、なんの苦労もなくパナメーラについていけたし、それ以上にドライビングが楽しくて仕方がなかった。これがパナメーラなら、クルマとのあいだにそんなコミュニケーションが存在することすら理解できないし、ましてラピードと同じように楽しむなんて論外だ。
絶対的には遅いはずのラピードから乗り換えたはずなのに、パナメーラはなんとも鈍重に感じられた。いや、実際に鈍重だった。トラクションコントロールと大トルクによってわずかなストレートでも遅れを取り戻すべく詰め寄ってくるので、最終的にはラピードはパナメーラを引き離せなかった。
しかし、パナメーラはラピードに比べたら奇妙なほどクルマとの一体感に欠けていて、とうてい楽しめるものではなかったのである。