スーパーサルーン対決 パナメーラvsラピード 感性で選ぶなら 回顧録

公開 : 2019.01.03 07:40

感性のレベルでの勝負

欧州におけるラピードの価格は、パナメーラのフラッグシップモデルの5割増しに設定されている。そう考えるともっと多くを望みたくなるかもしれないが、それは無理な話だ。なにしろオーストリアのマグナ・シュタイヤー社でラピードを1台製造するあいだに、ポルシェのライプチヒ工場ではパナメーラが10台もラインオフするのだ。そう考えると、ラピードの価格は非常に良心的だと言える。

わたし自身、パナメーラには敬服しているし、実際にありあまる能力を備えたクルマだ。しかも、ポルシェの比類ないエンジニアリングのノウハウを投入してリファインされているのだから、ルックスにそれほど深いこだわりを持たない人なら間違いなく買って満足できるだけの魅力を備えている。

そして、ここが重要なところだが、もしビジネスのパートナーを探しているのであれば、比較の対象となるクルマはほかに存在しない。パナメーラこそ買うべきクルマである。

しかし、惜しむらくは、ポルシェはパナメーラでひとつ、決定的な失敗をしている。感性のレベルでのクルマと人とのコミュニケーションが不可能なのだ。このためにパナメーラは、ドライバーが一体感を覚えながら運転できるクルマではなくなっている。これほど敬意と称賛に値しながら乗り手に対してこれほどまでに無表情なクルマは、わたしはほかに思い当たらない。

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