オープン4WDスポーツ対決 R8 vs 911 911改良の成果は 回顧録
公開 : 2019.01.01 07:10
古典的スーパーカーらしいR8
さらに興味深いのは、魅力的なワインディングロードを攻略する手法の対照的なまでの相違である。特に脱出時の加速特性はまったく別種と言っていい。
R8はスーパーカーとしてはもっとも扱いやすいクルマではあるが、古典的なスーパーカーそのものの走りを体験できるのはこちらのほうだ。紛れもなくロー&ワイドなプロポーションであり、さらにドライバーのすぐそばに最大の重量物をマウントしたおかげで、クルマとのメカニカルな対話が実に豊かである。
自然吸気のV10エンジンはパワーの出方が完璧なまでにリニアで、のんびり巡航するだけなら6速に入れたままでもまったく困らない柔軟性を持っているが、本気で走りを追求したければ、常に回転域のトップエンドを目指して踏んでいかなければならない。
しかし、そうしてさえいれば、R8はいかなる意味においても真のスーパーカーの走りを見せる。この点ではいかに911ターボがF-15のターボファンエンジンのごとき鋭い吸気音と高周波のタービン音を響かせようとも、とうてい比較になるものではない。さらにこのスパイダーでは、ルーフを開けばV10の咆哮をいっそう身近に聞くことができるのだ(実はルーフを上げていても小さなリアウインドウのみを開けられ、そうすればオープンと同等だ)。