DSが提示「つまらない」コンセプトカーへの対抗案 X Eテンス 短評も

公開 : 2018.12.27 18:00

DS X E-テンス試乗記

EVのコンセプトカーらしからず、ドライバーの本能にうったえてくるクルマだ。まわりが開けた運転席で光や風をじかに感じられるのはもちろん、フォーミュラEマシンゆずりの2基のモーターから出てくるかん高い響きもおどろくほどおおきく耳に伝わってくるのだ。

本来の動力性能こそ封印されているように見受けられたが、それでも一品もののプロトタイプにしてはじゅうぶんな速さを見せてくれた。

フランスの冷たい風が肌を刺しはじめる80km/hまでスピードを上げても、包みこまれる客室のほうはますます快適だ。そのままコーナーの連続にさしかかっても、ピタリと決まる運転姿勢と硬質な乗り心地、そして甘さのないステアリングのおかげで次々と吸い込まれるように抜けていける。

あたかも単座マシンを操る気分だが、そもそもフォーミュラマシンの骨格を生かしてつくったクルマだからもっともではある。その分、横に巨大な客室があったのを思いだしてちょっと興ざめてしまうかもしれないが。

現時点では、レーシングカーそのものの飛びはねるシャシーだけはお世辞にも公道向きではない。それでも、ドライバーの関与を居住空間や快適性と同列に尊重するという、ほかのコンセプトカーとはまるでちがった新鮮な将来像を提示してくれたことはまちがいないといえよう。

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