SLS AMGとライバルたち AMGはスーパーカーを作ったのか 回顧録
公開 : 2019.01.02 07:10
エモーショナルさに欠ける
確かにSLSは凄まじく速いクルマであり、さらに視覚的にも、少なくともわれわれの期待以上の強烈な印象を与えてくれた。だが、エモーショナルな点に関してはやはりメルセデスであり、非情なほどに冷たいクルマなのである。繰り返すが、SLSは卓越した性能を誇示するクルマであり、実際にその実力を備えている点では記録的と言っていいほどのレベルに達している。
そうではあるけれど、結局のところ心の琴線に触れるようなクルマではないのだ。その点がランボルギーニやアストン マーティンとはまるで違っている。確かにスーパーレジェーラもV12ヴァンテージもSLSほど完成度の高い走りではないが、乗っていて心が躍るクルマだ。そしてそういう経験は、SLSではまったくあり得ない。
それでは911ターボはどうか。この手のテストの常連である911は、ご存じのように独特なクセを持った個性的なクルマながら、ある意味ではSLSと同じ問題、つまり非常なほどの冷たさを抱えている。
ただ、今回のテスト車は911でも例外的なターボなので、クルマとの一体感が得られてそこに惚れ込むか、もしくはクルマだけが速くて自分は部外者のような疎外感を受けるかのふたつに分かれるはずだ。