SLS AMGとライバルたち AMGはスーパーカーを作ったのか 回顧録
公開 : 2019.01.02 07:10
各所が専用設計
スペースフレーム構造のシャシーも含めて車体のほとんどすべてがアルミで作られ、しかもメルセデスによれば、その構造体の剛性はきわめて高い。ノーズに搭載されるのは6208cc(紛らわしいエンブレムからボンネット下にあるのは6.3ℓエンジンだと思われがちだが)の自然吸気V8エンジンで、最高出力は6800rpmで571psを、最大トルクは4750rpmで66.3kg-mを発生する。
パワーを路面に導くのは、洗練を頂点を極めると同時に乗ればすぐにわかるほど効率にも優れたDCTだ。前進7段のギアを持ち、重量配分向上のためにトランスアクスルレイアウトを採用したそれは多種多様なギアシフトモードを用意しており、ドライバーが自在に選択できる。
サスペンションも同様にビスポークで、前後ダブルウィッシュボーンにコイルスプリングとこれまた表面的には古典的レイアウトである。さらに、今回の試乗車ではブレーキにオプションのカーボンセラミックディスクを、それもフロント19インチ/リア20インチのホイールにぴったりの巨大なサイズ(と価格)のものを装備していた。
それで価格は? これが実におもしろいところであり、そして同時に少々面食らうところでもあって、SLSをライバルたちと比較する際に話をややこしくしているいちばんの原因になっている。
驚愕するほど多彩なオプションリストはひとまず無視すると、SLSの車両本体価格は2430万円である。この時点ですでにポルシェ911ターボ(2090万円)やアストン マーティンV12ヴァンテージ(2173.5万円)などのライバルを軽く上回り、フェラーリ458イタリアやアストン マーティンDBSの価格帯がかすかに視界に入ってきそうだ。