SLS AMGとライバルたち AMGはスーパーカーを作ったのか 回顧録
公開 : 2019.01.02 07:10
英国車との違い
その部分について、SLSが進むべき道を誤ったことをほかのどのクルマよりも明瞭に示しているのは、V12ヴァンテージだ。エルゴノミクスの点でSLSと比べればお笑い草だろうが、しかしその車内には何かとてつもなく特別な雰囲気が漂い、そこにいること自体をイベントとして楽しめる。室内の香気にさえも、高級感が感じられる。
もしかするとこの違いは、単純に英国製スポーツカーのキャビンとドイツ製のそれとの違いに過ぎないのかもしれない。それに、いずれにしても、結局のところどちらを選択するかは純粋に個人的な好みに帰着する問題ではあるのだが。
トランスミッションはDレンジでもマニュアルモードでもかまわない。スターターモーターを回してどちらかを選択し、ノースヨークシャー一帯に広がる黒いリボンのような、静かで空いた道を走らせれば、SLSの動力性能がどれほどの高みにあるかはすぐさま察知できるはずだ。
SLSは乗るやいなや驚くべき感動を得られるクルマだが、それはスロットルの反応だけにもたらされたものではなく、素晴らしくレスポンスのいいステアリングとサスペンションによるところも大きい。