ロードテスト メルセデス・ベンツXクラス ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.01.05 11:10
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
英国の路上にメルセデス・ベンツXクラスが出現して1年近くが経つが、当初は最上位グレードとなるV6エンジンを搭載したX350dのみだった。パートタイム四輪駆動ではなく、センターデフも備わらない実用主義のパーマネント四輪駆動システムを採用している。このクルマは世界中のマーケットにリリースされ、南アフリカやオーストラリアへは2018年に、南アメリカへも2019年に販売が開始される。
メルセデス・ベンツはこのXクラスのを、他のモデルとのシームレスな関連性を感じ取れるスタイリングに仕上げたと主張する。なるほど、2本のルーバーを備えた堂々としたフロントグリルに、彫刻的なボンネット、フロントマスクを横方向に引き締めるヘッドライトなど、前半部分の佇まいはメルセデスだ。
しかし、根本的にその他の成り立ちの大きく異なるメルセデスのモデルたちと、Xクラスとをシームレスな一群として認識させる、というメルセデスの主張はやや無理も感じられる。多くの人たちは、Sクラスに見えるようなピックアップ・トラックは望んでいないと思う。そもそも、上辺だけのスタイリング処理だけで、Xクラスが本当に高級志向のデザインを獲得できているとすることに、疑問に感じてしまう。
うねりを伴うベルトラインの造形や、立体的なボンネット、ふくよかなフェンダー周りなど、少なくともアピアランスは悪くない。しかし残念ながら日産ナバラ(写真)も、似たようなスタイリングの特徴を持っている。この2台の関係性を知ってしまうと、その類似性に思わず注目してしまうはず。
英国で選択できるXクラスは、今のところディーゼルエンジンがふたつ。エントリーグレードとなるX220dは163psと40.9kg-mを発生し、中間グレードのX250dの場合189psと45.8kg-mを発生する。どちらもエンジンは日産製の2.3ℓ4気筒エンジンだが、X250dのみにパートタイム四輪駆動システムが搭載される。今回のテスト車両はこちら。もしメルセデス製のエンジンとフルタイム四輪駆動システムがほしいなら、258psを発生する3.0ℓのV6エンジンを搭載したX350dが選択肢となるだろう。
Xクラスは4ドアのダブルキャブのみのランナップで、ライバルモデルと異なりシングルキャブなどのバリエーションは選べない。ボディの全長は5340mmで、ホイールベースは3150mmとなっており、日産ナバラと驚くことにほとんど同値。フォルクスワーゲン・アマロックより大きく、フォード・レンジャーより小さい。現代のピックアップは、そのボディサイズから、都市部で駐車場を見つけるのに少々の労力が必要となる。しかし、Xクラスより大きいボディのモデルもあるから、一番大変、ということではなさそうだ。
シャシーまわりは、オンロードとオフロードの走行性能を両立させるため、メカニズム的にやや妥協した構成に思える。ラダーフレームシャシーに、ソリッド・リアアスクルがマルチリンク・サスペンションによって支えられている。フロントは左右独立したサスペンションで、4輪ともコイルスプリングにベンチレーテッド・ディスクブレーキを装備している。悪路の走破性という面では、ローレンジ・ギアが標準装備で、リアディファレンシャルのロック機能はオプションだ。
荷台の大きさは、幅、奥行きともに1.5m以上確保されており、クラス平均寄りは大きく、最大積載量は1.1トン。最大牽引能力はグレードを問わず3500kgとなる。最低地上高は221mm、最大渡河水深は600mmとなっている。